【大阪】戦火が続くウクライナから避難してきた少女が、堺市の私立高校に1日、通い始めた。親元を離れて1人で来日し、「不安がいっぱい」という少女を、クラスメートが温かく出迎えた。

 堺市堺区の堺リベラル高校に通い始めたのは、エミリア・ターマイエヴァさん(16)。ウクライナ南部のオデーサで、両親と10歳になる妹と一緒に暮らしていた。ロシアによる突然の侵略を受け、父を残し、母や妹と一緒にルーマニアに逃れた。

 エミリアさんはアニメやマンガを通じ、日本文化へのあこがれを持っていた。避難先でインターネットを検索。1カ月ほど前、大阪にある「ウクライナ学生支援会」のサイトを見つけ、日本に行きたいと伝えた。

 高校側が5月18日、両親も交えてオンラインで面接をし、エミリアさんの受け入れを決めた。1人で来日した彼女のホストファミリーは、岸和田市に住む同校卒業生の家庭にお願いした。16歳だが、本人の適性などを考慮して、3年生として授業を受ける。

 1日、学校で歓迎会があった。「両親と遠く離れ、すべてが不安」と話すエミリアさんを、同級生らは黒板いっぱいに書いたメッセージなどで歓迎した。エミリアさんは「とても不安だけど、いい学校生活を過ごせたら」と感謝した。

 同級生となった3年の土井美咲さん(17)は小学生の時、昔の戦争の白黒映像を博物館で見た。ウクライナの戦争は、リアルタイムの映像としてスマートフォンに流れてくる。「日本はロシアと近い。ひとごとではない」と感じたという。

 高校生と一緒にエミリアさんを出迎えた堺リベラル中学校3年の間吾心晴(まごみはる)さん(15)は、「戦争はひいおじいちゃんたちから聞いただけだった。戦争についてもっと色々学んでいきたいと思った」と話した。

 重山香苗校長は「私たちは毎日平和の中で暮らしているが、大変なウクライナの状態を学んで、彼女の環境を自分のものにして生徒たちが優しい心で接してくれたら」と話した。(井石栄司)

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