「地方創生」にもやもやする
今、わたしは地方創生を頑張っている人の元で研修を進めている。けれど、地方のことを理解するにつれ、「地方創生」という言葉にも概念にも、もやもやが止まらない。
一旦もやもやポイントを整理してみよう!!

1. 創生されたいと思っていなさそうな地元民

地方に来て思う。誰のための地方創生なんだろう?
そもそもは、東京一極集中=地方の過疎を問題視して生まれた概念であり、地方の過疎によって最も困るのは、人がどんどんいなくなる地方の人であろうと想像していた。
だがしかし、実際に来てみると危機感を持っている地元の人ってめちゃめちゃ少ない気がしている。地元の人は特に不自由を感じることなく、うまいこと生活していて、
本当に困っているのは誰だ??ということがまず疑問だった。

2. 少子高齢化対策って、地方創生で可能なの?

政府のWebサイトを見てみたが、地方創生の目的として、少子高齢化に歯止めをかけるため、と書かれている。
だがしかし、たとえ都会から地方に人が移動して、地方で少子高齢化の進みが遅くなっても、それは単に今いる人が散っただけであって、全体的に人口減少が止まるわけではないんじゃないか?
そもそも日本全域的に少子高齢化の中で、どんなに地方に移住者が増えたとして、これから日本の純粋な人口は増え得ない。また地方の方が都会よりも若者が子どもを多く作るという話はおかしく、
地方に人口が散ったとて、全体的な少子高齢化のスピードは緩まらなさそうだ。

都市経済学を学んだ身からいうと、「集積の経済」と言って、企業を含めたさまざまな経済主体は、近くに集まった方が生産性が上がることが実証されているのである。
人間が減るなら、都市部に集まって効率的に生産したほうが良くないか??

3. 若者は都会を好むのは当たり前では??

若者が都会を好むのは当たり前な気もする。一般的に、地方は自然が豊かでゆったりしているけれど刺激はすくない。
仕事もガツガツやるようなやる気がある人はやっぱり都会と比べるととても少ないし、余暇の過ごし方のバリエーションも少ないように見える。
エナジー溢れる若者には地方では少し物足りないときもある、というのは自然なことだと思うのだ。

4. 地方で頑張っている人の言葉にも、もやもや

地方を盛り上げようと頑張っている人が人吉にもいる。その中にはもちろん、地元の中で地域づくりを昔からしてきた人たちもたくさんいるし、地元民ではないけれど新しく介入して、
どうにかしようと動いている人もたくさんいる。
そういった方々に話を聞くと、地方にはいろいろな素晴らしい商売も箱もパッケージもあるけれど、人材がいないと口を揃えて言う。
「こういうことをしてほしい」ということはあるけれど、できる人がいない、ということらしい。
でもそれって、例えば、10年前に10年後のことを考えて、人材を雇用したり、育成したりという経営してこなかっただけではないのか?
厳しいようだが、未来のことを考えない自転車操業の会社はどんどんなくなっていくのが世の常であり、当たり前のことではないのか?この考えは都会的すぎる?

地方創生という概念はいつ生まれたのか?

調べてみると、「地方創生」は、2014年に第二次安倍内閣によって取り決められた地方活性化の政策のスローガンだという。思ったより新しく、思ったよりお国が作った概念だったようだ。
これを知って、地方創生をしないと困るのはやっぱり、国民というより、税金や地方自治体を管理しなければならない政府な気がしてしまったのだった。
もちろん、政府が困ることは国民も中長期的には困ることに他ならないのだとは思うけれど、今生きている人は将来の少子高齢化や地方の限界集落がなくなるということには
特段困らない人が多いというので差が生じているんだろうと思う。

https://note.com/sue_tabi/n/n0622df40c107