「2人選べ」と強要し連れ去り・母子ともに被害…ロシア占拠下の性暴力、見通せぬ全容

 典型的なのは、集団の中から何人か連れ去る事例だ。占拠時、住民はアパートの地下室に集められ、移動を制限される場合が多かった。ブチャで報告された事例では、露軍兵士が地下室に現れ、「これからレイプする。2人選べ」と住民に言い放ち、住民が拒否すると勝手に2人の女性を連れ去った。

 しばらく後、兵士が連れ去った女性の一人を地下室に投げ入れた。女性は髪も衣服も汚れ、顔に殴られた痕があった。その後、女性は数日間、地下室で他の住民と一緒に過ごしたが、憔悴(しょうすい)し、何も言葉を発しなかったという。もう一人の女性は行方不明のままだ。

 母親が子供の目の前で被害に遭った事例も少なくとも4件報告されている。ある事例では、母親が娘の前で、その後に娘が母親の前で被害に遭った。

報復恐れ
 ラ・ストラダは訴追手続きを進める検察当局と連携している。だが、被害者が訴追に同意したのは20件のうち4件のみだ。

 被害者が訴追を阻む理由の一つは、被害者が世間の目にさらされるのをためらうためだ。露軍が戻ってくることを恐れている人もいる。また、近隣住民から「なぜ早く逃げなかったのか」と非難されることもあるという。そうした住民は、露軍が戻ってきた場合に捜査に協力したと疑われることを恐れているとみられる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1a564e5c791691a3b00dbcb54e5d96e9fb0f168b