「か、かわい過ぎる」17年前の出会い ペットは家族(2)

 「か、かわい過ぎる」

 17年前の師走、岩手県川崎村(現一関市川崎町)の主婦後藤美由紀さん=当時(37)=は初対面の小犬に一瞬で心を奪われた。

 「胸に矢が刺さるような衝撃を感じちゃった。ズキュウウンって。目が合っただけなのに。もうだめ」

 後の柴犬ナナとの出会った時の胸の高鳴りは、今でも昨日のことのように語れる。

 「あー、もう、この世のものとは思えないような愛くるしさは何」。
夢見心地のまま帰宅した美由紀さんは家族会議を招集する。
夫の泰彦さん(45)、長女(11)、長男(6)がリビングに集まってきた。

 泰彦さんが常堅寺の住職に迎えられ、家族は石巻市から移住してきた。それから4年半ほど過ぎていた。

 「こっちの生活もだいぶ落ち着いたし。そろそろペットとか飼ってみる? かわいい犬を見てきたんだけど」。
美由紀さんは努めて冷静に切り出した。

 「子供たちの情操教育にもなるかと…」。説得本番に入ろうとした時だ。もうみんなの結論は出ていた。

 「大、大、大賛成だね」

https://news.yahoo.co.jp/articles/346b005da754da85391d948c058887c9da206cdb