岩倉使節団が直面した「近代」とは

岩倉使節団は、行く先々で現地のアメリカ人からフレンドリーに迎えられたため、もしかしたら不平等条約の改正は、
意外と簡単に実現するかもしれないな、と楽観的に考えていました。ところが、アメリカ政府を代表して
岩倉使節団と面会した国務長官ハミルトン・フィッシュは、いきなり日本側が予想もしなかったポイントを突いてきました。

「あなた方は、全権委任状(国の代表者として条約に調印する権限を持つ証)をお持ちですか?」

岩倉と日本側代表団は、相手が何を聞いているのか意味がわからず、額を突き合わせて相談しました。
国と国との正式な交渉を行う人間は、自国の政府から発行された「全権委任状」を持参していなくてはならない、
という、近代的な国際外交のルールを、この時点で正しく理解していた人間は、日本側代表団の中には一人もいませんでした。

うろたえた日本側は、すぐに「全権委任状」を取りに帰らせますと言い、大久保利通と伊藤博文を日本に向かわせました。
二人は、再び鉄道で大陸を西へ向かい、船に乗って日本へ戻り、明治天皇から全権委任状を賜った上でまた船に乗り、
太平洋を横断してサンフランシスコに再上陸し、鉄道を乗り継いで代表団のいる東海岸へと急ぎました。
https://diamond.jp/articles/-/97192
https://news.yahoo.co.jp/articles/948bb1d880a764afabd424e02f4c88a461195c3f