東京都江戸川区が2021年度に実施したひきこもりの実態調査で、ひきこもり当事者が区内に7919人いることが判明した。斉藤猛区長が8日の定例記者会見で明らかにした。区は調査結果を当事者や家族に対する適切な支援につなげるほか、7万を超える未回答世帯の実態把握も進める方針だ。

 21年夏、区人口(35万世帯70万人)から給与所得者らを除いた18万世帯24万人に調査票を郵送。回答が4割強の約8万世帯にとどまったため、22年2月にかけて訪問で追跡調査を行った。最終的に計約10万3000世帯分の回答が集まった。

 当事者は20歳未満から80歳以上まで幅広く、年齢層は40~50代が目立つ。ひきこもり状態の期間は1~3年未満が28・7%と最も多く、10年以上が25・7%で続いた。当事者と家族が求めているものは就労に関することがともに最多。自身の現状について当事者の6割が行政など外部に相談した経験がないことも明らかになった。

 会見で斉藤区長は「今回の調査で(当事者たちの)顔が見えてきた」と調査の意義を強調。「行政から一番遠くにいるのがひきこもりの方々ではないか。行政として、しっかり個別に寄り添っていきたい」と述べた。

 一方、調査では未回答が7万7307世帯に上った。早急に支援が必要な世帯も一定数含まれる可能性があることから、区はさまざまな情報を基に世帯の状況を精査し、今後もアプローチを試みる。

 また、区は当事者の自立のきっかけにしてもらうための駄菓子屋を兼ねた居場所づくりや、ひきこもり当事者への理解を区全体で深めることを目的とした条例制定も目指す。

https://mainichi.jp/articles/20220608/k00/00m/040/277000c