中傷消して…デマ被害の新人職員は初めて父に頼んだ 阿武町誤給付
https://mainichi.jp/articles/20220608/k00/00m/040/311000c

 男性は4月に町役場に入り、1カ月もたたないうちに誤給付が発生した。町が問題について発表すると、給付手続きの担当部署にいた男性を名指しし「新人のミス」など虚偽の書き込みがされるようになった。父親が気づいたのは5月中旬で、言いようのない不安に襲われた。

 帰省した男性から問題に関与していないことを直接聞いたのは5月下旬のこと。胸をなで下ろす父に、男性が口にしたのが「ネット上の中傷を消してほしい」という相談だった。帰省の前日に、友人から知らされたという。親に心配をかけないよう何でも自分で解決しようとする息子から、頼まれごとをするのは初めてだった。

 父親は町に連絡を取り、中傷の削除依頼など対応を求めた。花田憲彦町長は5月24日の記者会見で「興味本位と思われるような心ない書き込みもあり、本人たちが心を病むような状況になり、家族にも大変な迷惑をかけている」と述べ、節度ある対応を強く呼び掛けた。

 最近の状況をSNS(ネット交流サービス)で尋ねると「みんな親切で働きやすい。感謝している」と入庁当初と変わらない返信が来た。男性は学生時代にボランティア活動に励んだ経験から「人の役に立つ仕事がしたい」と公務員を志望したという。父親は「のびのびと働いて、町民のために立派な公務員になってほしい」。町に平穏が戻り、息子に何の心配もなく仕事に打ち込んでもらうためにも、問題の早期収束を願った。

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