コロナで借金した人が相次ぎ自己破産、既に20億円が返済困難に。
国の無利子貸付制度が生活再建に結び付かない深刻な理由
6/4(土) 10:02配信

 新型コロナウイルスの影響で生活が苦しくなった人に、国が無利子で
お金を貸す仕組みがある。返済期限はまだ先にもかかわらず、既に
「返せない」と自己破産する人が相次いでいる。返済困難な金額は
現時点で約20億円に上り、今後さらに膨らむのが確実だ。大半が
返ってこない恐れもあり、最終的には国民負担に跳ね返る。なぜ
生活再建に結び付かず、苦境に追い込まれる人が多く出てくるのか。
取材すると、制度の「弊害」が浮かんできた。(共同通信=大野雅仁、
出崎祐太郎、市川亨)

▽最大200万円まで借りられる

 この制度は「特例貸し付け」と呼ばれ、コロナ感染が広がり始めた
2020年3月に設けられた。最大20万円の「緊急小口資金」と、
最大60万円を3回まで貸す「総合支援資金」という2種類があり、
最大200万円まで借りられる。いずれも無利子だ。市区町村の
社会福祉協議会(社協)が受付窓口になっている。申請期限は
延長を繰り返し、今も利用可能。8月末まで受け付けている。

 緊急小口資金は2年以内、総合支援資金は10年以内に返済が必要で、
早い人は来年1月から返済が始まる。

 ▽自己破産や債務整理、5千人

 「既に利用者から自己破産の通知が毎日のように届く」。社協の
職員からそんな話を聞き、私たちは4月に47都道府県社協を対象に
調査してみた。「利用者から債務整理の手続きに入る通知が届いたり、
自己破産などが決定したりしたケースはどれだけありますか」

 38都道府県から回答が得られた結果、自己破産や債務整理の
手続きをした利用者が全国で少なくとも約5千人いることが分かった。
1人で複数回借りる人も多いため、貸付件数では約1万8千件に上る。
自己破産や債務整理のケースでの貸付額を答えたのは19県だけだったが、
それでも計約19億6千万円に達した。以前から他に借金があり、
多重債務状態だった人が多いとみられる。


https://news.yahoo.co.jp/articles/deb05f075359c40c36552b8de4a378612948a75f