手数料ゼロの中国QRコード決済「アリペイ」
中国でQRコードスマホ決済が広まった理由。
それは手数料がかからないからだ。アリペイは一切の手数料を取らない
POSレジもカードリーダーも必要がなく、自分が使っているスマートフォンだけで対応できる。
飲食店経営者にしてみれば、投資ゼロ、リスクゼロなのだから、対応しておいて損はない。
こうして、露店の焼き芋屋まで対応する環境が生まれ、消費者は現金と同じようにどこでも使える利便性に惹かれて
一気に利用が広まった。
アリペイは、ITサービスの基本に極めて忠実だ。それは「マネタイズは後で考える」「まずは広く普及することに集中をする。
普及をすれば、どのようなビジネスを展開しても大きな利益が期待できる」というシンプルな原則をそのまま守り
それが類を見ないほどうまくいった。
それを可能にしたのが、ジャック・マーの強い信念だった。
アリババが運営するECサイト「タオバオ」で、銀行振込しか決済方法がない時代に、アリババは振込手数料や振込処理にかかる時間など
eコマース時代に合わせて銀行も業務を効率化してほしいと何度も注文をつけた。
しかし、当時の金融を牛耳っていた銀行は、アリババをまったく相手にもせず、なにも変えようとしなかった。
タオバオの利益だけのことではない。このままでは、中国はネットを活用した社会に進化することができないと感じたジャック・マーは
「銀行が自ら変わろうとしないのであれば、私たちが銀行を変えてみせる」と宣言して、
アリペイのサービスを拡大していった。
そして、当初は「ホラ吹き」とまで言われたジャック・マーの発言通り、銀行は今、変わらざるを得ない状況になり、
中国社会は明らかに次の時代に進んだのだ。