>>326
@死は苦痛であり、害悪である
Aこの世に存在するかぎり、必ず死はもたらされる
B存在しなければ、死ぬこともない
→だから、存在しないほうがよい


かならず死はもたらされるなら、生まれた時点ですぐ自殺する場合は死の苦痛だけですみますが、生き続けて時間が経過した場合、将来の死の苦痛+生きる際に生じる苦痛の二つを人生で経験することになりますよね。苦痛を増やさないようにするべきというなら、できるかぎり早く自殺したほうが苦痛が少なくなるでしょう。よって自殺すべきということになるでしょう。絶対に治らないガンにかかった人が「俺が苦しみたくないんだ」と言ったら「でも治らないならこのまま生きてても苦しみが積み重なるだけですよね。自殺したほうが苦しみが少なくなりますよ」と返されるでしょう普通。苦痛の話をしだしたら反出生主義者が自殺しない理由がわけわからんのですよ。

そして「存在しなければ死ぬこともない」というのも無理がありますよね。死は生のあとに訪れるというのは現代の常識的な観念にすぎません。我々が生まれる前にはすでに死がくりかえされていて、この生によって死から逃れられているとしたら、生まれるほうがよいということになってしまいます。生まれる前は無であるなんて証明されていないあやふやな前提で言われても。それが非科学的だというなら、反出生主義は現在の主流の思想からはずれたよほど非常識な思想ですからね。非常識の正当性を訴える思想が生まれる前の状態を無と想定しないなんて非科学的だと言ってもアレですからそれはないと思いますが。

また「死は苦痛であり、害悪である」というのも普遍性がありません。死が害悪なのは人間の作った社会に秩序をもたらすために生み出された倫理の枠の中での話です。ときには死は正当化されますし、美化もされます。反出生主義は人類の滅亡を肯定する思想です。社会の秩序のために作られた倫理を根拠に人類の滅亡を正当化するわけのわからないことを反出生主義は行っています。