スコットランドの湖の「謎の生物」正体判明…4億年前の化石「進化の空白」埋める

 約4億年前の地層から見つかったウナギのような謎の生き物の正体を突き止めたと、理化学研究所などのチームが発表した。陸上にすむ脊椎動物の祖先と近い特徴を持っていたといい、生物が水中から陸上に進出する進化の過程の解明につながると期待される。

 科学誌ネイチャーに掲載された論文によると、この生き物は、スコットランドの湖に生息していた「パレオスポンディルス」。全長約5センチで細長い姿をしている。サメの仲間か両生類の幼生か、など分類を巡る論争が100年以上続いてきたが、解析に必要な分析装置の精度に限界があり、結論が出ていなかった。

 チームは、理研の大型放射光施設「 SPringスプリング ―8」(兵庫県)の高精度X線装置を使い、保存状態の良い頭部の化石二つを観察。関節の有無や骨の構成などから、ひれが手足に変化して魚類から両生類に進化する途中段階で、「生きた化石」と呼ばれるシーラカンスより陸上の脊椎動物に近いことがわかった。

 進化の過程で存在したはずだが化石が見つかっていないミッシングリンク(失われた 環わ )を埋める生物の一つとみられ、チームの平沢達矢・客員研究員(古生物学)は「魚類と両生類の間に位置する生物と言え、進化の空白を一つ埋めることができた」と話した。

https://www.yomiuri.co.jp/science/20220616-OYT1T50174/
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