緑川は、派遣切りにあった2ヶ月間ずっと携帯電話で仕事先をさがすために電話にあけくれていた。

緑川「あのーすみません、あのータウンワーク2月2日号を見て…お客さんと接するのは全然そのへんは抵抗ないんで…」
緑川は、去年12月まで山口県のマツダ防府工場の派遣労働者だった。日勤と夜勤を交互に繰り返し、一月の手取りは12万円ほど。
無遅刻無欠勤だったが、突然12月末での解雇を通告される。
この2ヶ月まえ、愛知県内にある別の会社の工場でも解雇されたばかりだった。一ヶ月ごとに更新される登録型の派遣業務。
正社員と同じ仕事をしていても、契約が更新されなければ即無職となる。


緑川「よその派遣社員が解雇についてのやりとりしているのを見ていたので、近いうちにうちもあるかと思ってましたけど。
こればっかりは、しょうがないですね。」

3年前までは、札幌でトラックの運転手としていた。札幌から福岡まで2日というノルマ。おくれると罰金を払う。
ついにスピード違反で免許を失った。
生まれ育った札幌には、正社員の募集は少なかった。あっても、経験や資格を必要とするものばかり。
結局、派遣の仕事をさがすだけで山口、愛知を転々としていた。


山口では仕事がみつからず、依然済んでいた愛知の半田市、ネットでみつけた家賃三万円のアパートに引っ越す。
この日、最後の給料が振り込まれていた。

差し引き支給額85,132円
深夜手当てが今月少なかったですね。

わずかな給料から、引越し代や交通費、家賃を払うと残ったのは残高3,000円だった。失業手当が支払われるのは一ヶ月も先だ。

※ 緑川「職種は何でもいいけど最低限、正社員で探す。ちゃんと保険だとかしっかりしたところ」
正社員になって、不安定な状況を抜け出したいところ、ほとんどの仕事で自動車免許を必要としている。
自動車免許が必要ない仕事を探し続ける。

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