【キーウ(キエフ)=深沢亮爾、ローマ=笹子美奈子】
ウクライナ国営通信などによると、同国の最高会議(議会)は19日、ロシアの書籍輸入禁止と、ロシア音楽の公共の場での演奏を制限する法案を相次いで可決した。

国内の反露感情を反映した排斥の動きで、一部にはロシアのプロパガンダ流入を遮断する狙いもありそうだ。

「露系住民への迫害」を侵攻の口実としてきたロシアが、その主張をさらに強める恐れがある。

ウクライナ、ロシアやベラルーシの書籍輸入禁止へ…反露感情を反映・対立に拍車

法案によると、書籍の輸入禁止は、ロシアと結束するベラルーシも対象となり、第三国経由の場合も許可が必要となる。

音楽は、侵攻を非難するアーティストなどを除き、原則としてロシア人歌手らの音楽を公共の場で演奏することを禁じる。

法案はウォロディミル・ゼレンスキー大統領の署名で成立する見通しだという。

南部ミコライウ市は18日、市内の学校で新学期が始まる今年9月からのロシア語授業の廃止を発表した。
ウクライナ政府も全国的に同様の措置を検討しているという。

東部などでは日常会話で公用語のウクライナ語以外にロシア語を使用する住民が多いが、避難先の西部で、ロシア語使用を嫌悪される事例も目立っている。

ウクライナの首都キーウでは4月、ソ連時代に建てられた銅像が解体された。

ロシアの作家やソ連時代の政治家らにちなんだ通りなどの名称を変更する動きも各地で広がっている。

ゼレンスキー政権は露軍による侵攻前から、プーチン露政権による宣伝戦への対抗策としてロシア語使用を制限する政策を打ち出してきた。

ロシア側はこれを露系住民への差別的な政策とみなし、今回の侵攻の理由の一つとして「露系住民の保護」を掲げている。

一方、ウクライナの隣国モルドバでは19日、親欧米派のマイア・サンドゥ大統領がロシア語のニュース放送を禁じる法案に署名したと伝えられた。
今週にも施行される見通しという。旧ソ連構成国のモルドバでは、ロシアが親露派勢力のテコ入れを強め、次の侵攻の標的となると懸念されており、露側のプロパガンダに警戒を強めているとみられる。

https://news.yahoo.co.jp/articles/14b46c87d2a188f65fc528978af0119c174683e0