ロシア軍、12名の将官が戦死する“異常事態”…専門家が語る「6月末、ウクライナ反転攻勢」の可能性

「ロシアはすでに、戦略的に敗北した」

 6月17日、戦況をこう断じたのはイギリス海軍トップのトニー・ラダキン参謀総長だ。

ロシアがウクライナに侵攻してから約4カ月。当初盛んに指摘された「数日でキーウが陥落する」という予測が嘘のように、ウクライナ軍は全土で強固な抵抗を続け、現在は東部ドンバス地方で激しい戦闘を繰り広げている。

 一方、ウクライナ側の発表によれば、ロシア軍はこれまでに12名もの将官を失っており、求心力を失った軍内部では、相次ぐ逃亡兵と従軍拒否に悩まされている。

「将官が12人も戦死するのは多すぎます」

 と語るのは、元防衛省防衛研究所研究員で、軍事評論家の西村金一氏だ。

「通常、将官たちが滞在する指揮所は、前線から20kmから40km程度は離れた後方に設置されます。なので、敵側から直接攻撃をされることは、まずあり得ません。

 今回、将官クラスに戦死者が多いのは、ロシア軍がこのセオリーを守っていないからです。プーチン大統領がせっついているせいかもしれませんが、指揮官自らが前線まで視察に出てきたところを、ウクライナ軍が偵察型ドローンを使って指揮車両の位置を特定し、攻撃しているようです」

 首都を包囲するように各方面から侵攻していたロシア軍だが、現在は東部戦線に戦力を集中させている。数に勝るロシア軍が優勢になるという見方もあるが、西村氏は別の可能性を示唆する。

「6月初旬から、ウクライナ軍に関する情報が極端に少なくなっているんですよ。私の見立てでは、ウクライナ軍にはまだまだ余力がある。6月末に、米独英が和平に向けた本格的な仲介交渉を始める予定なので、ゼレンスキー大統領はその前に全面的な攻勢をかける思惑なのだと思います」

https://news.yahoo.co.jp/articles/a90e7768ff191e3317dd3e3e7474654c015ea829