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スペインの没落については、いくつかのストーリーを聞いたことがある。

一つは無敵艦隊沈めたイギリスで小馬鹿にされネタにされたスペイン名物の 「スペイン宗教裁判」に戯画化されたように、
ようするにスペインという国は本質的には非合理的で神権政治の国で「国の意思決定層が宗教キチガイのアホ」だった
というのが一つの説明。

もう一つの説明はもうちょっとテクニカルで産業政策にかかわるもので、
スペインを押し上げたのが新大陸からの黄金なら、スペインを破滅させたのも新大陸の黄金という話。

こっちはつまり、新大陸でインディオをしばきあげて黄金をもってこさせれば、
スペインは大量の富を自在に手に入れることができる立場に、ある時期までいた。
これがスペインの脳みそを完全にとろけさせちゃって、スペイン人は付加価値をつけるとか
ものごとを工夫するとかそういう努力を一切しなくなった
(今の産油国の、なにも文明に寄与しない割にカネだけある連中を「油土人」とけなしてる意識と同じ感情が働いてるかもしれん)。

その間、プロテスタント諸国は創意と工夫があった。
ようするにのちにスペインを撃破していくプロテスタント国の付加価値の源泉は「自分らの頭脳」だったのに対して、
スペインは自分らのケツにしいてた黄金にうつつをぬかして、
そういう付加価値的労働からくる産業を何一つ育てなかった。
だから、黄金が流出したとき、スペインにはろくな実力がなかった。
という話。

俺は大学時代の講義でこの二つの話を聞いた。