https://www.asahi.com/articles/ASQ6Q3PMBQ6KPTIL02C.html

校則と職場の謎ルール 思考停止が招く政治への無関心 内田良さん

「有休を取った翌日に『すみません』と言う」「水分補給は隠れてする」――。多くの職場に見られる、こうした「謎ルール」をたどると、髪形や服装を細かく規定する「ブラック校則」に行き着くように思います。

 気づけば、子どものころから周りにはびこっている理不尽なルールはどうして生まれ、私たちに何を植え付けているのでしょうか。名古屋大の内田良教授(教育社会学)は「身近な理不尽を変えた経験がないことが、政治への無関心にもつながっている」と指摘します。

――職場の「謎ルール」は学校の「ブラック校則」の延長線上にあるように思います。社会にはなぜ、こんなにも理不尽なルールがあふれているのでしょうか。

 ブラック校則は多くの学校にあります。そこでは理不尽に耐えるトレーニングをしているようなものです。そうした校則感覚を持ったまま大人になり、上から言われた通りに従う企業文化が作られていると思います。

 一方、学校では先生たちが「企業社会ではこうだから、学校で教えるんだ」と言い、厳しい校則指導をしています。企業の理不尽な文化を先取りして、子どもたちに強制しているのが現状です。お互いに文化をつくってしまっている悪循環があると思います。