郡上・下呂・中津川を結ぶ濃飛横断道

 リニア中央新幹線の建設とあわせて、岐阜県内では「濃飛横断道」の建設も進んでいます。どちらも完成すると、東京から県内の下呂温泉まで1時間50分でアクセスできるといいますが、どのような計画なのでしょうか。

ルートは国道256号と国道257号に概ね沿う形で計画されており、終点の中津川西ICは、中央道の中津川IC~恵那峡SA間に開設されます。

 これまでに開通しているのは、和良IC~下呂IC間の約8.1kmです。この区間は、比較的長い和良金山トンネル(1850m)とささゆりトンネル(4877m)で郡上・下呂の両市を結んでいます。

 このように開通しているのはまだ全体の10分の1ほどですが、将来、濃飛横断道は岐阜県にとって重要な道路に“化ける”かもしれません。

 その大きな理由がリニア中央新幹線です。JR東海は現在、品川~名古屋間を結ぶ新たな新幹線の建設を進めています。開業は、大井川水系の水資源確保をめぐる静岡県などとの対立により当初予定の2027年は「難しい状況」(JR東海)ですが、早期開業に向けて取り組んでいくといいます。

 この新幹線と濃飛横断道を結び付けるのが、新幹線の岐阜県駅(仮称)です。中津川市内のJR中央本線・美乃坂本駅近くで建設が進んでいます。

 このようにリニア中央新幹線で岐阜県駅まで来て濃飛横断道に乗り継ぐことで、東京から、高速交通網の空白地帯である下呂方面へ速くアクセスできるようになるのです。

 現在、濃飛横断道で建設が進められているのは、「中津川工区」と呼ばれる約5kmの区間です。中津川市内の木曽川に架かる岐阜県道410号の美恵橋から中央道の中津川西ICまでを南北に結びます。道路は2~4車線、設計速度は60km/hです。

 リニア岐阜県駅や中央道、国道19号ともICを介して接続することで速達性・定時性を確保するとともに、通過交通を分離して中津川市街の渋滞を減らすことなどが期待されています。

 そして起点の郡上市でも計画が動き出しています。

 東海北陸道の郡上八幡ICから、つづら折れが続く堀越峠を避けて郡上市内の入間地区とを緩やかなカーブとトンネルで結ぶものです。

 国土交通省中部地方整備局は2022年度から、国が県に代わり工事を行う「権限代行」実施を検討するための調査を始めると発表しています。

 岐阜県によると、この濃飛横断道が全線開通すると観光資源が豊富な郡上市・下呂市・中津川市の回遊性が向上するとともに、東海北陸道や中央道などの高規格幹線道路と一体となって同県の産業経済活動を支え、大きなストック効果をもたらす重要な道路になるとしています。

 東京から下呂までの所要時間は現在、東海道新幹線「のぞみ」と特急「ひだ」を乗り継いで約3時間20分ですが、岐阜県の試算によると、リニア中央新幹線と濃飛横断道の併用でおよそ半分の1時間50分まで大幅に短縮されるということです。

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