安倍元総理大臣が凶弾に倒れた日、テレビは長時間にわたって特別番組を放送し、その後の参議院選挙の番組でも大きく取り上げられました。

追悼ムードの中、「功績」が前面に打ち出される一連の報道について専門家はメディアに課題を残したと指摘します。

▽専修大学・山田健太教授
「1つには追悼色が強いのはやむを得ない面があるものの、政治家の死というものついては功罪を伝えるというのが報道機関の大きな役割であるわけですから、その部分について課題を残した」

一連の報道について言論法を専門とする専修大学の山田健太教授は、メディアによって追悼ムードが広がり長期政権を担った元総理の実績に多く時間が割かれ、結果として功罪の検証は後回しになったままだと指摘します。

「実態と今回3日間、4日間伝わっているイメージの落差はどうしてもぬぐえない。少なくとも私の専門領域からしても、安倍さんのメディア戦略とか情報コントロールはこれまでの政権と比べても特徴的な手法があったわけで、対話をあえて拒否したり、相手側の意見は聞かなかったりした」

普天間基地の移設問題で真っ向から主張が対立する翁長雄志知事が就任すると面談を4か月にわたって拒否。

首相会見などで一部の社は指名しないなど、”メディア選別”も政権の特徴でした。

「集団的自衛権それから秘密保護法、共謀罪といった有事体制づくりがこの安倍政権下で非常に進んだということは間違いないわけです。長期政権、単に長い歴代最高の長い政権だったという言葉だけでなく、安倍政権の功罪というのは今からでもきちんと各メディアが報道していく必要があると思っています」
https://news.yahoo.co.jp/articles/4289436e93a701fae52c35c4d09b0732e1eb9069