7月4日から2日間にわたりウクライナの復興について話し合う国際会議がスイス・ルガーノで開催された。ウクライナを長期的に支援するための原則を盛り込んだ「ルガーノ宣言」が採択された。

会議に出席したウクライナのシュミハリ首相は「復興計画に必要な金額は7500億ドルに上る。主要な財源として接収したロシアの資産を充てるべきだ」と主張した。

 西側諸国の制裁により、ロシア政府の外貨準備が約3000億ドル、同国の富豪などの個人資産が約300億ドル差し押さえられた。だが、これらの資金をウクライナ復興に流用するには国際法上の制約がある。宣言は採択されたものの、具体的な財源の目途は立っていないのが実情だ。

 この会議の目的はあくまで戦争終了後の長期的な復興計画の策定であり、戦争が続く現在のウクライナの窮状を支援する性格のものではない。

 ロシアによるウクライナ侵攻から4ヶ月が経過し、戦争で荒廃したウクライナの財政は厳しさを増すばかりだ。ウクライナの今年の国内総生産(GDP)は前年比40%以上のマイナスになることが見込まれている。

 ウクライナ政府の収入の大部分を占める関税収入はロシアによる侵攻前の4分の1に落ち込んでいる。関税の対象である輸入が大幅に減少しているからだ。

 一方、支出は青天井で増えている。軍人の給与負担が大きく、毎月50億ドルの資金不足が生じている。海外からの資金援助に頼ることができず、その穴を埋めるために中央銀行は紙幣を増刷する状況が続いている。

 軍事作戦から年金に至るまであらゆる支出を捻出するため、ウクライナの中央銀行は国債の買い入れを続けてきたが、「既に限界だ」との悲鳴が聞こえてくる。

 ロシア国債が債務不履行(デフォルト)となったことが話題になったが、ウクライナの国債がデフォルトになるのも時間の問題だ。

"財政破綻、人口減少だけではない 破綻国家となりつつあるウクライナの窮状(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース" https://news.yahoo.co.jp/articles/ec752aefb8b386bcfd66b35e914825ea3cbb768d