ハリス米副大統領、太平洋諸島フォーラム首脳会議に参加、新たな関与政策発表
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/07/f1b6c8e41422a272.html

米国のカマラ・ハリス副大統領は7月12日、フィジーで開催された太平洋諸島フォーラム(PIF、注1)首脳会議にオンラインで参加し、
同地域に対する新たな関与政策を発表した。
ホワイトハウスが公表したファクトシートによると、バイデン政権は次の7点を実施するとしている。

1.キリバスとトンガに米国大使館を開設:大使館開設に向けて両国との協議を開始する。

2.米国議会に太平洋諸島の経済開発・海洋強靭(きょうじん)化のための支援予算を要求:
現在の3倍に当たる年間6,000万ドル規模の支援を今後10年間継続するための予算を議会に要求する。

3.PIF担当の政府代表を指名する:同地域への関与をさらに強化するため、史上初となる政府代表を指名する。

4.「太平洋諸島戦略」を発表する:2022年2月に発表した「インド太平洋戦略」(2022年2月14日記事参照)に内包するかたちで、
またPIFが掲げる「ブルーパシフィック大陸の2050戦略」に沿うかたちで「太平洋諸島戦略」を発表する。

5.平和部隊を太平洋諸島に再派遣する:米国政府の途上国支援プログラムである平和部隊のボランティアをフィジー、トンガ、サモア、バヌアツに派遣し、その他の国に拡大することも視野に入れる。

5.米国国際開発援助(USAID)の代表使節を再設置する:フィジーの首都スバに、同地域を管轄するUSAIDの代表使節を再設置する。

6.「ブルーパシフィックにおけるパートナー(PBP)」を実施・前進させる:
日本・米国・英国・オーストラリア・ニュージーランドの5カ国で6月に立ち上げたPBP(注2)に基づき、
気候関連の危機やインフラ需要など新たな課題に対応する。

バイデン政権が同地域への関与を強める背景には、中国の存在がある。例えば同政権は、
4月に中国がソロモン諸島と締結した安全保障協定に懸念を表明している。

そうした中、フィジーは5月末に、米国が創設した「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」への参加を決定するなど、
米中それぞれが主導する地域枠組みに関する動きが活発になっている(2022年5月30日記事参照)。
今回のハリス副大統領の出席も、現在PIFの議長を務めるフィジーのフランク・バイニマラマ首相からの招待を受けたもの。

ただし、バイデン政権高官は、事前の記者向けブリーフィングで「われわれは、他国に(米国か中国かの)選択を迫ってわけではなく、
中国と関係を持つなということでもない。中国は巨大で重要な国だ」と述べ、あくまで米国が地域への貢献を高める前向きな取り組みだと説明している。