キーウ=安田信介】英国防省は12日、ウクライナ東部ドネツク州の制圧を目指すロシア軍が、刑務所での人材募集など、通常とは異なる手法での兵員補充を強いられている可能性があるとの分析を明らかにした。米政策研究機関「戦争研究所」も露極東での50~60歳代の志願兵による部隊編成や、参戦拒否が相次いでいると指摘している。

露西部サンクトペテルブルクの刑務所では、露民間軍事会社ワグネルが、受刑者に6か月の兵役任務と引き換えに報酬20万ルーブル(約47万円)と釈放を条件として提示していると調査報道専門の露独立系メディアが7月上旬に伝えていた。

 プーチン政権に近いワグネルは、戦闘員を中東シリアやリビア、アフリカ諸国に派遣し正規軍の代役を担う。プーチン政権は反戦機運の高まりを警戒し、大規模動員に移行していない。

 一方、ウクライナ軍は13日、過去24時間に露軍兵士100人を殺害したと主張した。ロシア通信によると、ドネツク州に隣接するルハンスク州の親露派武装集団は13日、ウクライナ軍が米国から供与された高機動ロケット砲システム(HIMARS)で露軍側の防空ミサイルシステムに打撃を与えたことを認めた。ウクライナ軍は南部の露軍占領地への反撃も強化している。

 ただ、英誌エコノミストは、領土奪還には兵員数や装備が不足しているとの最前線兵士の見方を伝えた。

 9日のドネツク州北部チャシフヤールの集合住宅への露軍の攻撃による死者は47人となった。

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