安倍元総理の銃撃事件で、山上徹也容疑者(41)の詳細な供述を取材することができました。
恨みを持っていた宗教団体トップが3年前に来日した際、火炎瓶で襲撃しようとしていたということです。

山上容疑者の供述:「本当は統一教会のトップを狙っていましたが、韓国にいて、コロナウイルスのために日本に来ませんでした。
安倍元総理を狙って撃てば死ぬかもしれないことは分かっていましたが、どうしても統一教会が許せず、そこにつながっている安倍元総理を散弾銃で撃ったのです」

銃撃に至る経緯を供述した山上徹也容疑者。

捜査関係者によりますと、宗教団体に恨みを持ったのは2、30年前だったということです。

山上容疑者の供述:「2、30年前に母親が統一教会に入会しました。その後、多額のお金を振り込んだ影響で(2002年に)破産。
それが、そもそもの元凶です。そのころから恨んでいました。
当時(15年ほど前)はナイフ1本を持って教会の会合などをしている周辺をウロウロしたりしていました。トップの韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁をずっと狙っていました」

韓鶴子氏は“旧統一教会”創設者の妻で、現在の「世界平和統一家庭連合」の総裁を務める人物です。

“旧統一教会”に「家庭を壊された」と恨みを募らせた山上容疑者は韓総裁に対し、実際に行動も起こしていました。

山上容疑者の供述:「2、3年前に愛知に韓総裁が来ていました。その時、火炎瓶を持っていきました。
教会のメンバーしか会場内に入れなかったので、行くだけで何もできませんでした。
元凶は韓総裁かと思っていました。だから韓国に行って殺ってやろうかとも思いましたが、出国できないと思いやめました」

そして、恨みの矛先は安倍元総理へ…。

山上容疑者の供述:「韓総裁を日本に連れてきた岸元総理の孫ということで、安倍元総理も一緒と思っていました。
今年の3月か4月に、安倍元総理が統一教会に向けてビデオメッセージを送っていました」

しかし、“旧統一教会”の「世界平和統一家庭連合」は安倍元総理のメッセージは別の組織である「友好団体に送られたもの」で、
また岸元総理との関係も「特別な影響を与えていることはない」と答えています。

去年の秋には銃を完成させていたという山上容疑者。

山上容疑者の供述:「圧力鍋の爆弾等を最初に作りました。試しに爆発させたりしましたが、特定の誰かを狙うのは向いていませんでした。銃ならば狙って撃てると思い、銃を作りました」

実際に安倍元総理を殺そうと動いたのは事件前日の7日、岡山県での応援演説の時でした。

その日の未明には奈良市内にある教会関連施設に隣接する建物へ、銃の試し撃ちをしたと思われる音が防犯カメラに残っていました。

山上容疑者の供述:「3発、発射できる銃を持っていきました。黒いリュックに入れて、弾は入った状態でバッテリーだけ外して持っていきました。
安倍元総理が会場に入る時か出る時を狙っていましたが、裏口からの入退場で周りにSPがいるので、結局その日は何もできませんでした」

しかし、岡山からの帰り道で状況は一変します。

山上容疑者の供述:「帰りの新幹線で、自民党のホームページで安倍元総理が翌日、奈良県に来ることが分かりました。
岡山で実行できなかったので諦め掛けていましたが、奈良に来るということなので、この日に安倍元総理を殺そうと思いました」