安倍晋三元首相が8日に奈良市内での街頭演説中に銃撃されて死亡した事件で、山上徹也容疑者(41)は海上自衛隊呉基地(呉市)の勤務経験があった。「元海自隊員」の肩書を持つ男が銃を使用したという衝撃的な事件。「基地の街」である呉の元海自隊員や関係者たちは、複雑な心境で捜査や真相解明の行方を見つめる。

 防衛省や関係者によると、山上容疑者は2002年から3年間、任期制自衛官として海自に在籍。佐世保教育隊(長崎県佐世保市)を経て、呉基地が母港の護衛艦まつゆきの乗組員となった。第1術科学校(江田島市)に移った後に退官。在籍中に目立った賞罰はなかったとみられる。

 今回の犯行で山上容疑者は、長さ約40センチの手製銃を使用したとされる。呉市の元海自隊員は「(銃使用について)海自時代に腕を磨き、深い知識を習得したとは考えられない」と話す。

 5カ月程度所属する教育隊では射撃や銃の分解・組み立て、艦艇の乗組員は1年に1度の射撃訓練はする。ただ、使用するのは長さ1メートル程度の64式小銃(ライフル)。新入隊員が、幹部や潜水艦の乗組員が使うピストルの訓練を積んだり、銃の作り方を学んだりすることはないという。

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