民間企業が運営するのだから、経費削減が最優先される。州の矯正局との契約で定められた規定の人数の刑務官が揃うことはない。受刑者の医療費は会社負担だから病院に連れていかない(そのせいで、両足が壊死し、切断を余儀なくされた受刑者もいる)。監視塔に人を配置しなくなったことで脱走者に気づかなかった。

受刑者は鉄格子付きの個室ではなく大部屋で雑魚寝。しかも、最大352人収容可能な区画に、刑務官が2人しかいない時間帯もある。刑務官は、「受刑者に奪われたら困る」という理由で、催涙スプレーも警棒も持たされていない。丸腰だ。何かあったら無線で誰か呼べ、と指示される。

刑務官は研修で、「自らの意志で催涙ガスを浴びる」という書類にサインをさせられる。食事は食堂で一斉に行う。その際、受刑者が暴動を起こしても、少ない人数の刑務官では制圧できない。だから外から催涙ガスを投げ込むから承知しておけ、ということだ。

刑務所内で自殺が起こった時、管理会社はそれを州に報告しなかった。脳死状態と診断された際、「温情的措置による釈放」を行ったから、亡くなった時には当社の管理下の受刑者ではなかった、という理屈だ。

まだまだある。とにかく著者は、民営刑務所の最低最悪な最底辺の現実をこれでもかと目の当たりにする。