米Qualcomm(クアルコム)は2022年7月14日、日本で導入が進む5Gミリ波通信サービスについて、その実力を実際に体験した様子を公開した。混雑した駅や街中で、下り速度2Gビット/秒、上り速度300Mビット/秒超と、サブ6(6GHz未満の周波数帯)利用時と比べて最大6倍超の速度を確認できたとしている。

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日本では、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの大手通信事業者4社全てが5Gミリ波サービスを提供している。既に2万基を超える5G基地局が稼働しており、総務省は2024年初頭までにさらに増設する計画を明らかにしている。

端末も韓国Samsung Electronics(サムスン電子)のスマートフォン「Galaxy S22」をはじめ、ソニー、富士通、シャープ、米Googleなどが、さまざまなミリ波対応5Gスマホを提供している。

今回、Qualcommが原宿や新宿、東京駅などで独自に行った性能測定では、2Gビット/秒の下り速度と300Mビット/秒超の上り速度を確認。同一の場所でのサブ6利用時と比べ、下り速度で6倍超、上り速度でも約5倍速いという結果が得られた。ミリ波対応のSamsung Galaxy S22 Ultraを使った実験では、TikTokへの55Mバイトの動画アップロードを2秒足らずで完了できたという。

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日本の5Gミリ波通信では、n257と呼ばれる26.50~29.50GHz帯の400MHz幅が大手事業者4社それぞれに割り当てられており、大勢の人が利用する駅やショッピングエリアの屋外や屋内での高速大容量通信を可能にしている。

加えて2022年夏からは、ミリ波とサブ6を使うデュアルコネクティビティー(NR-DC)展開も開始する。これにより中周波数帯(ミッドレンジ)の広域カバレッジとミリ波による一貫した品質の高速大容量通信が提供可能になる。

Qualcommは日本での5Gミリ波推進活動について、「主要事業者すべてが参画している」「豊富な品ぞろえのミリ波スマートフォンが提供されている」「政府当局が強い支持を表明している」「収益化に向けたビジネスモデルが充実している」ことなどを評価。同活動に参加しないことは大きな機会損失になるとしている。

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