現在の人口規模を維持するのに必要な出生率は「人口置換水準」と呼ばれ、おおむね2.07程度とされる。現在は先進国を中心に約90カ国・地域、全世界の約半数で水準を下回る。もっとも、南米やアフリカ、アラブ諸国では出生率は依然高く、移民の送り出し国となっている。

これから先、将来の人口動態に関しては、米ワシントン大学が長期予測を発表している。中位シナリオに基づくと、30年代には急速に現在の発展途上国でも少子化が進み、50年になるとほぼ全ての国・地域で出生率が人口置換水準を下回る。

世界全体の平均出生率は1.87となり、グラフの上では大多数の国・地域の点が1~2の間にこぼれ落ちる。出生率2を超すのは、オセアニアの島国や中央アジア、サブサハラ(サハラ砂漠以南)など限られた地域のみとなる。

それからさらに50年後、2100年には世界の出生率は1.66まで下がり、砂時計はほぼ完全に落ちきる。米ワシントン大は報告書で「世界人口は容赦なく減少する」と指摘した上で、中位シナリオに基づけば、2100年までに日本やタイ、スペインなど23カ国で人口が現在の水準から半減すると分析する。

https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00001000Y2A210C2000000/