中国のネットユーザーは、中国共産党指導者への批判めいた書き込みをすると「ネット警察」によって摘発される可能性もあることから、さまざまな隠語や造語を使って、摘発を逃れようとしている。
一見すると、何のことだか分からないものの、かつての「焚書坑儒」を彷彿とさせる中国当局による「文字の獄」に対抗しようとしているのだ。
米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じている。

最近話題になっている隠語は、「535」という数字だ。実は「6月4日」の隠語で1989年の6月4日に起きた民主化運動を弾圧した天安門事件を指す。

「535」を「5月35日」とすれば、5月は31日しかないので、35引く31は4で、6月4日となる。

最近の中国の政治問題では、習近平国家主席が、今年秋の第20回党大会で、異例の主席3期目を決め、終身最高指導者の座を狙っていると報じられる。
中国では最高指導者への批判や悪口はタブーなだけに、SNSなどで「習近平」と書き込むと、内容はどうあれ、ネット警察に消されてしまうことが往々にある。

天安門事件当時、中国人民解放軍の戦車の前に立ちはだかって、戦車群の進軍を阻んだ大学生のことが世界中のメディアによって「タンクマン」として報じられたが、これを表す隠語が「油罐人」だ。「油罐」は石油タンクなので、「油罐人」は「タンクマン」となる。

この習近平の隠語が「細頸瓶」だ。
中国語の発音では「XIJINPING」となり、「習近平」の発音と全く同じなので、「細頸瓶が最近、○○をした」など書いて、習近平をあてこする場合使っているようだ。

また、「荷蘭(オランダ)銀行」は文字通り読むと「オランダ銀行」だが、「荷蘭」は「河南省」の「河南」と発音が似通っているため、「河南省の銀行」の意味となる。
最近、河南省では市民ら41万人の銀行口座の預金が引き出せず、3000人の市民が中国人民銀行鄭州支店の前で「習近平の『中国の夢』は破れた」、「李克強総理は金を返せ」といった横断幕を掲げて、デモ行進や集会を行った。
そこに白ずくめや黒ずくめの服を着た暴漢が市民に殴りかかり、多数の負傷者が出るという事件が起こっているが、この「荷蘭銀行」はこの事件を揶揄する際に使われている。

このような隠語や造語について、SNSの新浪微博は「文明的で健全なコミュニティの秩序を維持するため、調和語や異体字などの『誤字』を使って微博に好ましくないメッセージを掲載・拡散する行為を是正しよう」と呼びかけた。
しかし、これに対して、一部ネットユーザーは「中国当局による『文字の獄』をなくすのが先決だ」などと批判している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c04ccb99ea7575b8a65a5a821ea4f9e495da3f3f