一つは安倍氏に近い自民党議員による勉強会「文化芸術懇話会」でのことだ。勉強会の代表は安倍氏に近い木原稔党青年局長が務めた。この日の初会合には、いずれも安倍氏側近の加藤勝信官房副長官や萩生田光一党総裁特別補佐ら約40人が出席した。

 参加した議員からは「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番。経団連などに働きかけして欲しい」「青年会議所理事長の時、マスコミをたたいたことがある。スポンサーにならないことが一番(マスコミは)こたえることが分かった」と政権に批判的な報道機関への「兵糧攻め」を求める声が上がった。講師として招かれた作家の百田尚樹氏からは「沖縄の二つの新聞社は絶対につぶさなあかん。沖縄県人がどう目を覚ますか。あってはいけないことだが、沖縄のどっかの島でも中国にとられてしまえば目を覚ますはずだ」などと語った。

 これらの発言について、安倍首相はいったん「事実であるとすれば大変遺憾だが、党の正式な会合ではなく、有志が集まった会合だ」として問題視せず、「その場にいないにもかかわらず、その方に成り代わって勝手におわびをすることはできない」と謝罪も拒んだが、批判が収まらず、谷垣禎一幹事長は木原青年局長を更迭し、発言した衆院議員を注意。その後、安倍氏が、谷垣氏と会談した際に「沖縄の方の気持ちに反する発言があったことは極めて遺憾だ」と語ったのは、恐らく谷垣氏から問題を認めるよう促されたからだろう。