>>31

鬼たちの舟も三隻ほど係留されている船着き場にボートを係留すると、三人は音もなく鬼ヶ島に上陸した。桃太郎を先頭にして、小高い丘の上にある鬼のアジトへ素早く走り寄る。三百坪ほどの別荘風の建物で、刈り込まれた芝生の庭には四人の鬼が見回りをしていた。猿田はクロスボウに四枚のブレード型矢じりのついたアローをつがえると、一人の鬼へ向けて発射する。矢は鬼の首を直撃し、頸椎を破壊された鬼は一声も挙げることなくその場に倒れた。猿田が第二の矢をつがえる間に、犬山は手槍を持って別の鬼の背後に回る。音も立てない鮮やかな動きだ。鬼に気付かれることなく、延髄にガーバー・マグナムの刃を滑り込ませる。桃太郎も足のコンバット・ナイフを抜き取り、鬼の背後から頸動脈を切断した。四人の鬼を片付けるのに、三分とかからない。
 アジトの玄関にかかった鍵を桃太郎が難なくピッキングで開けると、玄関を入ってすぐ右の部屋に押し入る。その部屋にはベッドが二つあり、この屋敷のメイドである鬼娘が二人、眠りこけていた。突然の侵入者に驚いた二人が目を覚ますと、猿田はコルト・パイソンの台尻で一人の頭を殴って気絶させ、犬山は素早くもう一人の口を粘着テープでふさいで悲鳴を挙げられないようにした。桃太郎は、恐怖で身じろぎひとつしない娘の手足をロープで縛ると、ガーバー・マークIIの刀身を見せる。
「おとなしく質問に答えてくれれば、君にひどいことはしない。ただし大声を挙げたら殺す。嘘をついても殺す。それだけじゃない、殺してから犯してやる。前も後ろもだ。わかったか?」
 娘は必死の形相でうなづいた。小さな角が揺れる。桃太郎は、彼女の口に貼られたテープをはがしてやった。
「君の名前は?」