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鬼山より先に、騎乗位で交わっていた娘――涼子が侵入者に気付いた。迷彩服に身を包み、顔にも迷彩ペイントをして、マシンガンやクロスボウで武装した三人の戦士の姿を目の当たりにした涼子は、ショックでそのまま気を失った。意識をなくした涼子の蜜壺が痙攣し、鬼山の男根を強烈に締め付ける。鬼山は桃太郎たちに気付くと同時に、男根を襲う苦痛に呻いた。

「な、何だ貴様たちは。伊達、朝倉、北野、こいつらを取り押さえろ!」
「残念ながら、三人とも死の国へ旅立ったぜ」
 桃太郎は嘲笑った。

「畜生――」

 鬼山は枕元のスウィッチを操作してベッドの回転を止めると、枕の下に置いてあったワルサーPPK自動拳銃を取り出した。猿田が目にも止まらぬ速さで手裏剣を投げる。鬼山の右手を鋭い刃が貫き、ワルサーははね飛ばされて床に落ちた。

「乱暴はよしてくれ――貴様たちはいったいどこの組織の回し者だ? 鬼道会か?それとも牛頭馬頭組か?」
「俺たちには、貴様ら鬼の世界の勢力争いなど関係ない。俺たちの目的は、貴様が善良な人間たちから巻き上げて作った財産を、残さず頂戴することだ」
「財産なんてここにはない!」
「そうか? なら試してみるか」

 桃太郎は、壁際の本棚の中から、トルストイの『戦争と平和』を探した。二mぐらいの高さがある本棚の、腰ぐらいの高さの段の左から四冊目に『戦争と平和』はあった。桃太郎は、その本を手に取ってみる。すると本は棚から抜けることなく、引き出すとレバー式のスイッチが入った。モーターの作動音とともに、本棚がゆっくりと横にスライドしていく。すっかり動いてしまうと、壁にはダイヤルロック型の金庫室の扉が埋め込まれていた。

 桃太郎はM16の銃口を鬼山の頭の右側の角に当てると、半自動で一発撃った。5.56mm弾が、鬼山の角を根本からへし折って飛ばした。衝撃で気を失った鬼山の、右手に刺さった手裏剣を掴んでえぐる。怪鳥のような悲鳴を挙げて、鬼山は目を覚ました。