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「俺たちに嘘をつくと、もっと痛い目に遭うことになるぜ。金庫にはいくら入ってるんだ?」

「大した金は入っていない。みんなスウィス銀行の秘密口座に入れてしまった。儂本人が出向かないと預金を下ろすことはできないし、誰かと一緒だったら脅迫されているものと見做して警察に通報される仕組みになっている。だから金はないんだ――畜生、痛い。この女を外してくれ、儂の息子が腐ってしまう」

「甘えたことを言うな、じゃあこうしてやる」

 猿田はベッドに駆け上がると、意識を失って鬼山の上にくずおれた涼子の身体を引き起こし、腋の下に手を入れて思い切り持ち上げた。鬼山と繋がっている部分も引っ張り上げられ、鬼山の腰まで浮いた。男根を強烈に引っ張られた鬼山は、身の毛もよだつような苦痛の声を挙げた。
「やめてくれ、息子がちぎれる! 思い出した、金ならある。先週、麻薬の売り上げの金をこの金庫に入れたんだ」
「最初から素直にそう言えばよかったんだよ」

 猿田は涼子の身体から手を放した。涼子は鬼山にまたがったまま、うつぶせに倒れる。

 桃太郎は、その涼子の尻の、尾てい骨のあたりをブーツで蹴った。脊椎への衝撃で下半身が一時的にマヒし、膣の痙攣がおさまる。ぬるりと吐き出された鬼山の男根は、紫色に腫れ上がっていた。

「もう一度聞く。金はいくらある?」
 邪魔な涼子の身体をベッドの下へどけると、桃太郎は尋問を再開した。
「ほんの三千万ほどだ」

 桃太郎はガーバー・ハンティング・ナイフを抜くと、ベッドの上に座った鬼山の、左の耳たぶに突き刺した。
「いくらだと聞いている」

「わ、わかった。本当は三億だ」
「宝石もあるんだろう。そっちの方が高額のはずだ。俺たちの調べでは、ざっと二十億円ほどの価値がある」
「畜生、最初から知っていたのか。宝石だけはやめてくれ! 儂の命を賭けたコレクションを持っていかれたら、もう生きていても仕方がない!」
「それは貴様の問題であって、俺たちの問題ではない」

 桃太郎は嘲笑った。
「金庫のダイヤル番号を言ってみろ」