これはれっきとした「ヤミ金」である…人気急上昇中の「ツケ払い」サービスで荒稼ぎする悪質業者の手口

■クレジットカードを持たないZ世代の間で人気上昇中

 新興サービスには必ずといっていいほど、それを悪用して暴利をむさぼろうとする者が現れる。急成長しているクレジットカードを使わずにオンラインで買い物ができる「後払い決済サービス」(BNPL)もそのひとつだ。

 同サービスは、インターネット通販(EC)で商品を購入し、商品が届いた後、2週間から1カ月程度の間に紙の請求書やスマホアプリに届くバーコードを使ってコンビニや銀行などで代金を支払う仕組みだ。衣料品や食品などの物販のほか、旅行代金やオンラインゲームの課金サービスも対象で、クレジットカードを持たない若者層を中心に急速に利用額を伸ばしている。

 海外では、昨年10月に米PayPal(ペイパル)が3000億円で買収したPaidy(ペイディ)が代表格で、日本では昨年12月15日に東証1部に上場したネットプロテクションズホールディングスが最大手の事業者として知られる。とくに米国では、クレジットカードを持たない若者層を中心に急速に普及しており、いわゆる「Z世代」と呼ばれる層の約4割はBNLPを利用しているというデータもある。

■「錬金術」でそそのかし、暴利を取る悪質業者も

 だが、代金の清算を翌月1回払い(マンスリークリア)のみとしている業者が大半で、割賦販売法の適用除外となっていることもあり、市場規模の拡大とともに消費者トラブルも増えている。「2020年の改正割賦販売法で後払い類似サービスに関する規制が定められたのですが、後払い期間が2カ月以内の場合、割賦販売法の規制を受けないことになっています」(メガバンク幹部)というのが理由だ。

 例えば、国民生活センターには利用者の支払い能力を超えて決済が行われているケースや事業者が問い合わせに十分な対応をとってくれないといった苦情が多く寄せられているという。中でも懸念されるのは、今回紹介するような「錬金術」で消費者をそそのかし、利ザヤを稼ぐ悪質業者の存在である。

■「ブラックリスト入り」でも即現金化が可能

 「いわゆる後払い(ツケ払い)現金化に要注意!」

 日本貸金業協会、財務局、金融庁、警察庁、消費者庁は連携で、こうした注意喚起を行っている。モデルケースとされる事例は次のようなものだ。

 ①利用者はスマホで後払い決済業者に商品を申し込む。②後払い決済サービス業者は利用者が金融取引でブラックリストに登録されていても利用可能なこと、商品とともにキャッシュバック名目などで金銭を利用者に支払うが、これは利用にとって借金(借り入れ)でないことを伝える。③利用者は商品の代金を後払いする――というフローだ。

 この後払い(ツケ払い)現金化の特徴は、形式的には後払いによる商品売買だが、商品代金の支払いに先立ち、商品の購入者が金銭を受け取ること。商品の価値と販売価格が必ずしも見合っておらず、顧客も商品を購入することを目的にしていないことで、キャッシュバック・レビュー報酬名目や提携した買取業者が当該商品を買い取ることにより金銭を支払うことが多いこと。

 また、給料日等に商品代金を支払うことになり、その商品代金と先に受け取った金銭との差額が高額であることなどが特徴となっている。

■商品の売買に見せかけた「ヤミ金」である

 日本貸金業協会や各省庁は、この後払い(ツケ払い)現金化について、「形式的には商品の売買であっても、その経済的な実態が貸し付けであり、業として行う場合には、貸金業に該当するおそれがあります。貸金業登録を受けずに貸金業を営む者は、違法なヤミ金融業者です」と厳しく指摘している。

 インターネットで「後払い、現金化」で検索すれば、「後払いアプリの即日現金化方法とすぐ使えるアプリ」など数多くの紹介サイトがヒットする。「クレジットカードや消費者金融以外でもお金を用意する方法が流行っています」と銘打たれたサイトには、「後払い・ツケ払い現金化」は違法だが、「後払いアプリ現金化」は合法と謳(うた)われている。

 そして、両者の違いについては次のように説明されている。まず合法の「後払いアプリ現金化」は、後払いアプリを使ってECサイトなどで商品を購入して転売することで現金を得る仕組み。これに対して「後払い・ツケ払い現金化」は、業者から商品を後払いで購入したキャッシュバック特典として現金を受け取る仕組みで、実際の商品取引はないというものだ。

(後略)

https://news.yahoo.co.jp/articles/8f1cfdf92c3c371de87c557ce2fc1674392fa7e4