自衛隊ドラマ「テッパチ!」視聴率大不振…あまりの不人気に防衛省も改憲派もガッカリ

 フジテレビ系「テッパチ!」(水曜夜10時)は、自衛隊を舞台にした群像ドラマだが、あまりの不人気に、全面的にバックアップした防衛省はもちろん、改憲派もガックリだという。

 これまでも「空飛ぶ広報室」(TBS系)など自衛官の主役はいたけれど、隊や班など集団とそこでの人間関係をテーマにしたドラマは今回が初めて。第1部は若き自衛官候補生の涙と友情の体育会系のお話。第2部は自衛官たちの現場活動や災害出動などの苦労が描かれるらしい。

「第1部は、自衛隊にはこんな感動と生きがいがありますよという若者向けリクルート。何しろ自衛隊は定員割れがずっと続いていますからね。第2部は隊員の皆さんありがとうというキャンペーンです。フジテレビがなんでこんなドラマを企画したかといえば、7月の参院選で自民党は圧勝し、憲法改正の動きが加速するとみられていたから、改憲派のフジサンケイグループとしては、そのタイミングに『こんなに頑張ってる自衛官たちが違憲状態のままでいいのか』というメッセージとして、このドラマをぶつけたのではないでしょうか」(メディア・アナリスト)

 防衛省も訓練シーンに戦闘用のヘリコプターや戦車を登場させ、多数の自衛官がエキストラで出演するなど全面協力。事前のあおり番組「超絶限界~陸上・海上・航空自衛隊ソコまで見せる!?大百科~」(7月6日放送)にも、男女自衛官15人を出演させて、給料や隊内恋愛までしゃべらせた。

 キャスティングも町田啓太、佐野勇斗らイケメンをずらりと並べ、制服姿の白石麻衣もいて見せ場たっぷり。これで話題にならないはずはないとフジテレビと防衛省は皮算用し、改憲派は「このドラマが人気になれば、憲法を変えようという世論が盛り上がる」と大いに期待したわけだ。

 が、始まってみたら、初回から世帯視聴率は2ケタに遠く及ばず、とうとう第4話は4%になって、打ち切りの赤信号が点滅してしまった。

「描かれる悩みもケンカも、中学生レベルなんですよ。ライバル同士が走りっこで張り合ったり、すぐ“辞める”と言ったり、きれいな先生(教官)に憧れたりと、何十年も前の青春ドラマです。いまどきの若い人にはまったく届きません。そもそも、女性視聴者が喜ぶだろうと、イケメンマッチョの筋肉シーンを毎回流したり、第4話まで女性候補生がほとんど出てこないことに何の疑問も持たない時点で、このドラマは終わってます」(ドラマウオッチャー)

 実際の自衛官があんな幼稚だったら、銃を持たせたり戦車に乗せたら危ないよ──なんてネット書き込みも目立つ。自衛隊にしてみれば、とんだマイナス効果というわけだ。

 改憲派も期待外れだろう。改憲旗振り役の安倍晋三元首相の横死というときに、自衛隊応援ドラマも空振りというのは、いかにも具合が悪い。「テッパチ!」は“存在意義”を失って、失速しそうである。

(コラムニスト・海原かみな)

https://news.yahoo.co.jp/articles/82e4143d4f0bceaf189b1295f8d364c1ceaeb1be