アメリカ各地に出現する恐怖の社会階層「カレン」ってどんな人たち?(フィガロジャポン)
https://news.yahoo.co.jp/articles/b330be9d9fa13f9d0dbc73e77d07d2d02c2e0095

あらゆることに異議を唱え、身体を張って自分の特権を守りぬき、堂々と人種差別を行う。このような女性をアメリカでは“カレン”と呼ぶ。“カレン”たちはSNSから裁判所まで幅広く波紋を及ぼしている。社会に怒りが渦巻いているのだろうか。フランスのマダム・フィガロがリポート。

こんなことがアメリカでよく起きている。多くの場合、白人で比較的裕福な一定の年齢の女性が、自分には特別な権利と義務があると妄想し、自分の生活と自由、自分が属する人種とその優越的な立場、さらに社会秩序までが、目の前にいる赤の他人に脅かされていると思い込み、その人に対し突然暴言を吐きかける。激怒し、相手を罵倒し、自分の支配下に置こうとする。警察を呼ぶとまで脅しをかける。対象は男性であることも女性であることもある。

このところアメリカ、特に東海岸では“カレン”と呼ばれる新たな社会階層が出現している。1960-70年代、白人家庭では「カレン」という名前が際立って多かったことから、彼女たちにこのあだ名がついた。彼女たちは自らを正義の士と位置付け、何の根拠もないのに、ヒスパニック系の労働者に身分証明書を求めたり、敷地内のプールで泳いでいる黒人家族にその家の住人なのか確認したり、自宅の前でレモネードを売っている女の子たちに許可証があるのか問いただしたりする。

2018年には一般的に使われる単語として登場した“カレン”。「彼女たちのほとんどは潜在的な差別主義者で、自分が暮らす生活圏の支配者であると信じ、何かにつけて被害を受けたと声高に主張し、争いを引き起こそうとします。自身が抱えているフラストレーションをむき出しにして、怒りをぶちまけられるシチュエーションを作り出すのです。非常に危険になりうる人物です」とコミュニケーションの専門家、リリアン・グラスは説明する。

不運にもこの種の女性の標的になってしまった人は、自分の身に起きている信じ難いことに抵抗し、非常識な命令を拒絶する。すると“カレン”の怒りはさらにエスカレートし、支離滅裂となり、動画を撮られているとわかっていても、哀れな姿を増幅していく。間もなくその動画はSNSに投稿され、大勢の人の反感を買う。結果、“カレン”は解雇され、弁護士に書かされた謝罪文を胸が張り裂ける思いで読み上げることになる。

(後略