モーリー・ロバートソン
ロシアのウクライナ侵攻に関する日本のテレビ報道は、過去の国際問題や紛争と比べると、起用すべき専門家や議論すべきテーマの選定という面でかなり頑張っていると感じます。
ただ、やはりこういった局面ではアメリカのテレビニュースのリアルタイム性やリアリティ、解説の正確さは相当なものがあります。
ファクトに基づいて戦況の解説をするのは、つい最近までイラクに駐在していた元司令官や国防総省の大物OBなど、限りなく現役に近い専門家。
さらにその解説と並行してスプリットスクリーン(画面分割)を駆使し、その頃ポーランドの首都ワルシャワではこう、一方ウクライナの首都キエフではこう、といった臨場感あふれる演出がなされ、思わず感情をかき立てられます。
これからロシア軍はどんな作戦を取りうるか、NATOが条約第5条(加盟国への攻撃はNATO全体への攻撃と見なす)を発動するのはどんなケースか、
そのときどんな展開が考えられるか、生物・化学兵器や核兵器の使用の可能性とそのシナリオはどんなものか...。
遠慮のない生々しい解説に、まるで自分が軍の会議に出席しているような気分になり、そして第3次世界大戦および核戦争、
あるいは東西冷戦以上にデカップリング(分離)されたマーベル作品的な新しい世界秩序についての想像を広げざるをえません。