バイデン政権の意向もあり、韓国の新政権と岸田政権の歩み寄りが取りざたされる中、日韓の歴史問題はどのようにすれば乗り越えることができるのだろうか? 
これに答えるのが、『最強の働き方』『一流の育て方』などのベストセラーでもよく知られ、日本で最も有名な在日コリアンのひとりである、ムーギー・キム氏。京都に生まれ、日韓両国の文化の中で育ち、世界中で学び働きながらも、物心ついたときから40年に渡り、日韓関係について考えてきた。

日本と韓国、双方の視点と価値観と誤解に対する深い理解に基づき、著者が「人生を通じて最も書きたかった思索と想いがこもった1冊」という新刊『京都生まれの和風韓国人が40年間、徹底比較したから書けた!  そっか、日本と韓国って、そういう国だったのか。―― 文化・アイドル・政治・経済・歴史・美容の最新グローバル日韓教養書』から、一部を抜粋・再編集し、「日韓の歴史認識の決定的な違い」について考える。

■記録が高層ビル並にある「朝鮮王朝実録」

 私がコラムを書くたびに、ヤフコメや掲示板の皆様は、「日本と韓国は違いすぎるし相容れない、国交断絶や!!」などとお怒りの声を寄せられる。

 しかし、書き込まずに私のコラムに賛同してくれている人は、私の希望的観測によるとその1万倍はいると思っている。その無数の支持者の皆様に、改めて感謝申し上げる次第である。

 さて、日本と韓国の価値観を比べたとき、実は個人的な行動様式においては両国共通の文化も多いからか、「ほぼ同じじゃん」と思えるくらい共通点も、たくさん見られる。

 しかし、政治などの特定のコンテクストでは、両国の伝統的価値観の影響による差異が色濃く見受けられる。

 「過去からの正統性」にこだわる儒教の影響からか、韓国は「過去の歴史をめぐるこだわり」が強いのだ。

 『朝鮮王朝実録』は約500年分が編年体で書きつづられ、その量は数え方により1700~2000巻以上もある。

 しかも焼失などで失われないよう、複製などが4~5カ所に保存されてきた。この本を積み上げると高さ32メートル、実に12階建てビルの高さに相当するという(最後の2代は日本の支配・監督下で編纂されたので、正史から除外される)。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4d54d79a73814e44ea3d3fd8d81ebb1ad785e8c6