「ここ9人ですか?」「はい、利用者さん9人です」「何人陽性ですか?」「6人陽性で1人入院の。今ここにいるのは5人です」「5人?」「はい、陽性者5人で」「で。診る人は何人?」「日勤者はゼロですね」「えっ?」「日勤できる人はゼロですね」

 映像が撮影された7月20日の時点で、入居者9人のうち6人が感染。このクラスターの発生を理由に職員15人のうち6人が欠勤に。残された9人で施設を支えていましたが、全員陽性となってしまいました。

 水野院長「感染力が強いのでクラスターを防ぐというのはなかなか難しいんじゃないか」

 大阪府内で高齢者施設のクラスター対応を行っている水野医師。介護スタッフの不足もあり、陽性になった職員が、陽性の利用者を介護する、いわゆる「陽陽介護」の現実に直面していました。

 水野医師「ちょっと大変へんやな」、男性の職員「大変なんですけど、もう」、看護師「泊まり込みで、あそこのベッドで休んでらっしゃるみたいで」

 この男性スタッフも陽性が確認されました。しかし、徘徊などが心配される利用者のケアのため、泊まり込みでの勤務を続けていました。

 水野医師「限界ありますよね」、男性の職員「そうですね。ほんとね、なかなか応援の手が届かないんで」、看護師「言ってくださいね、なんでも」

 大阪府はクラスターが起きた高齢者施設に対し、医師が往診する体制をとっていますが、現状は追いついていないと水野医師は指摘します。

 水野医師「正味、誰も助けに来ないというような状況で、高齢者のコロナ感染者は介護施設で診るというのが当たり前というような状況。『陽陽介護』というのはやむを得ないのではないかと思う」

https://news.yahoo.co.jp/articles/41016ab981799b2f75408af09d0b1bb8f1ed04a4