外来種、希少種・生態系脅かす 奄美・沖縄世界遺産登録から1年

「これ全部、外来種なんです」。7月中旬、鹿児島県・奄美大島の世界自然遺産区域の渓流沿い。
案内役の池上温人・環境省自然保護官補佐が指さした岩場は、卵形の葉をつけた植物で覆われていた。
南北アメリカなどに分布し、日本に観賞用の水草として入ってきたというセイヨウミズユキノシタ。繁殖力が強く、在来植物の生息地を奪う恐れがある。
すぐそばで、国内ではこの島だけに自生するアマミカタバミが黄色い花を咲かせていた。
周辺は自然保護関係者が「聖地」と呼ぶ場所の一つで、島固有種のアマミクサアジサイやアマミデンダのほか、コビトホラシノブやヒメミヤマコナスビも自生する。
いずれも環境省レッドリストで絶滅危惧種に分類されている。
島の生態系への影響が懸念される外来植物は他にもある。
世界遺産登録から1年。セイヨウミズユキノシタの侵入は確認されたばかりで、法令などで対策が必要な外来種に指定されていない。
「いわばノーマークの存在。早く対策を考えないと」。池上さんは言う。
https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ825FF0Q7RTGPB00B.html