警察庁は事件後、警護の問題点を洗い出す「検証・見直しチーム」を県警に派遣。警護に関わった複数の警護員が聞き取り調査に対し、1発目の発砲音について「タイヤが破裂した音かクラッカーの音だと思い、銃声と考えることができなかった」と説明したという。

 SPや警護員は安倍氏に飛びついて地面に伏せさせたり、防護板をかざして自らが盾となったりする動きが求められる。しかし、現場を録画した動画には1発目の発砲音後、警護員らが動き出すような様子は映っていない。2発目の直後にSPらが慌てて防護板を広げる姿は確認できるが、発射時は間に合っていない可能性が高い。

 一方、安倍氏の警護計画は演説の数時間前に警備部幹部や県警本部長が決裁し、ドタバタの中で策定されていたことも新たに分かった。

 安倍氏の奈良入りが決まったのは事件前日の7日夕だった。県警は自民党の奈良県連側から連絡を受け、直後に演説場所を下見する「実査」を実施。関係者によると、県警本部の警備課を中心に原案が作成され、警備部参事官に提出したのは8日朝になった。警備部長、鬼塚友章本部長の順に決裁され、この過程で異論は出なかったという。

https://mainichi.jp/articles/20220804/k00/00m/040/235000c