日本将棋連盟が毎年刊行している『将棋年鑑』では、巻頭特集として藤井竜王のロングインタビューを行っています。本記事は、『令和4年版 将棋年鑑 2022』の巻頭特集インタビューの取材に際して、藤井竜王の仕草や言葉の端々からインタビュアーが感じ取った言外のニュアンスについて記したものです。インタビュー本編では表現しきれなかった細かい機微を少しでも感じ取っていただければと思います。

■パイナップルの期待値

――では、好きなフルーツはどうでしょう?

「一つ挙げるならパイナップルです」

何の変哲もないやり取りですが、この質問に対する藤井竜王の返答が異常に早かったのが印象に残っています。藤井竜王はどんな質問でも一拍置いて、言うことを整理してから答えられるんですが、この質問については待ち構えていたように早く返されたので驚きました。

藤井竜王がこのスピードで答えられたからには、きっと論理的な理由があるのだろうと思いましたが、案の定ありました。

――理由はありますか?

「パイナップルはハズレがないので(笑)」

――なるほど。

「果物はどうしても味のばらつきがありますけど、パイナップルだけは常に美味しい(笑)。マンゴーも好きなんですけどモノによって味が違う印象があるので。その点パイナップルは安心感があります」

https://news.yahoo.co.jp/articles/30827212bf7b1bf4e5341da8146f2be86b5e6365