スーツケース型「AI盲導犬ロボ」…全盲の浅川智恵子・科学未来館長のアイデアから開発

 視覚障害者を誘導するためのスーツケース型ロボットの実証実験が、7月末に北海道の新千歳空港で行われた。AI(人工知能)が盲導犬代わりになるか注目されている。

 このロボットは、日本科学未来館(東京)などが開発している「AIスーツケース」。全盲の浅川智恵子館長が5年前にスーツケースを運んでいたときに思いついたアイデアだ。昨年に館長に就任し、開発を本格化させた。

 外観は一般的なスーツケースだが、センサーやモーターなどを収めており、重さは約15キロ。センサーが周囲の障害物や人物を認識して、持ち手部分の振動で方向を知らせ、利用者をあらかじめ入力した目的地に誘導するしくみだ。スマートフォンに音声で到着や店舗の情報なども知らせる。

 7月29日に行われた実験は、浅川館長自らが国内線ターミナルビルの搭乗エリアでAIスーツケースを手に取った。目的とする店舗まで往復約300メートルを約5分で移動する予定だったが、この日は利用客が多くセンサーの認識に時間がかかり、15分を要した。

 視察した牧島デジタル相は「子どもが急にロボットの前を横切るなど、現場ならではの予想外の事態も多くあった」と実験の意義を語った。浅川館長は「実用化に向けて今後も験を重ねていきたい」と話した。

https://www.yomiuri.co.jp/science/20220803-OYT1T50139/
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