「高知のコロナ診療、既に破綻」 高度救急病院の部長が訴え

 「県内のコロナ診療は既に破綻している」

 高知県有数の規模で高度な救急医療を担う近森病院(高知市)で新型コロナウイルス対策などを担う石田正之・感染症内科部長が5日、記者会見し、感染拡大第7波での医療現場の厳しい現状を説明した。石田部長は、現場の逼迫(ひっぱく)度はかなり進んでいるとの見方を示した。

 同病院は病床512床、職員約1600人だが、3日現在の病院職員の陽性者は31人、自宅待機を含めると49人。過去のクラスター(感染者集団)発生時を除けば過去最多で、対応に人手を要する高齢者のコロナ患者が増えていることもあり、ぎりぎりの体制という。

 石田部長は「最近ではコロナ感染者の入院調整で午前10時から午後4時までかかるケースも珍しくない。軽症者でも受診が難しい場合が増えている」と説明した。同病院には救急のコロナ対応病床は3床あるが、満床で搬送を断らざるを得なかったケースは7月には18件に上ったという。

 さらに他の病院の感染状況の影響も気がかりだ。石田部長は「当院で治療後に転院する候補となる医療機関でクラスター(感染者集団)が起きれば転院できなくなり、当院の病床が埋まったままになる。そうなれば救急の受け入れに支障が出る」と指摘。病院ネットワークの不全が全体の医療逼迫につながりかねない状況だ。

 ◇「感染しないことが最大の対策」

 今後の対応策として、石田部長は「感染しないことが最大の対策だ。一律の行動制限を繰り返すより、一人一人が感染しないために根本的に何をすべきか、真剣に考えて行動することが大切だ」と述べ、厳しい医療逼迫を脱するには各人の行動を変えるしかないと強く訴えた。
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