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中国は、96年の台湾初の総統直接選挙を独立の動きとみなし、台湾上陸訓練や台湾沖への弾道ミサイル発射を繰り返してけん制した。台湾海峡危機だ。当時は米国が空母2隻を派遣したことで示威行動は抑え込まれ、直後の97年に当時のギングリッチ米下院議長が訪台した際にも軍事的に強く反発することができなかった。

 中国は台湾有事の際には米空母の接近を阻む必要があるとして戦略の見直しに着手し、「接近阻止・領域拒否(A2AD)」能力の向上を進めてきた。伊豆諸島からグアムを通る「第2列島線」の内側で米軍の作戦行動を阻み、南西諸島とフィリピンを結ぶ「第1列島線」の内側への米軍の進入阻止を目指すものだ。

 中国軍は、ナンシー・ペロシ米下院議長の訪台に反発した今回の演習で、米空母を攻撃する能力を備えたことを改めて示す狙いもありそうだ。弾道ミサイル発射だけでなく、自国の空母も台湾周辺に向かわせた。米軍に比肩する軍事力を背景に、米側に屈しない意思を誇示しているとみられる。

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