ここに日銀の苦悩が潜んでいる。日本では事実上、正社員の固定給引き上げは年に一度の春季労使交渉だ。足元では日銀が目標とする2%を超える物価上昇が続くが、実質賃金を押し上げる広範な賃上げは来春を待たざるを得ない。

海外では事情が異なる。6月に9%を超える消費者物価の伸びを記録した米国では4月、UBSグループが年間を通じて2度目となる若手行員の固定給引き上げを決めた。JPモルガン・チェースも1月、同様の措置を取ると報じられた。

欧州はドイツやフランスなどで産業別労働組合が足元の経済状況も踏まえ賃金改定など労働条件の改善を要求するのが一般的だ。ベルギーやルクセンブルクでは、物価が上昇すると自動的に賃金が上がる仕組みがある。ドイツでは航空大手ルフトハンザの従業員が、サービス産業労組の賃上げを求める呼びかけに応じてストライキを行った。

「賃上げ要求に応じなければ欧州はストライキをする。そこが日本とは違う」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB01BI60R00C22A8000000/?unlock=1