「殺してやる」母に包丁向けた弟 家族支え続け、私は妹と家を出た

大人に代わり、子どもが家族の世話を担う「ヤングケアラー」。
北陸地方に住む女性(26)もその経験者だ。
幼いころから発達障害の妹と弟の世話をし、離婚した母親を支えてきた。
かつての自分の経験から同じ境遇の子どもたちへの支援や、その周知が重要だと訴える。

女性は1995年生まれで、2歳下の妹と4歳下の弟の3人きょうだいの長女だ。
妹は、興味に偏りがあったり、対人関係に困難があったりする「自閉スペクトラム症(ASD)」で、パニックに陥りやすく、ひきこもりがち。
弟はさらに重いASDと診断された。

「あなたが妹と弟の『病気』を治してあげるんよ」

幼いころ、離れて暮らす祖父からこんな言葉をかけられた。
父は単身赴任が長く、年に3~4回しか帰ってこなかった。高校生の時に両親は離婚。
3人を引き取った母は家事をやってくれたが、精神の不調から泣くこともあった。
そんな時、母の相談相手になれるのは自分だけだった。

「きょうだいも長女の自分が守ってあげないと」。
弟の薬を管理し、不登校の妹には、部屋をのぞいていつも声をかけた。
https://www.asahi.com/articles/ASQ8261RZQ82PISC011.html