「靴に泥はついていない? 払ってから乗ってね」

アスファルトを歩いてきたので、靴に泥がついているはずもありません。形だけ靴をトントンとして助手席に乗り込み、シートベルトをしました。そして、車が走り出してから、さとこさんは言いました。

「私、朝ご飯を食べてこなかったの。サンドイッチを作ってきたんだけど、食べてもいいかしら」

すると、よしかずさんが言いました。

「僕は、車の中では物を食べないようにしているんだ。においがこもるし、食べカスが落ちると車内が汚れるから。高速に乗ったら最初のサービスエリアに入るから、そこで一緒に食べようよ」

そう言われて、さとこさんは一気に食欲がなくなってしまいました。また、ウキウキしていたテンションも下がり、これから始まるデートがつまらないものに感じるようになりました。

高速道路のサービスエリアに入ったものの、サンドイッチを1つつまんだら、さとこさんはもうおなかいっぱい。そこから目的地の自然公園に行ったのですが、早くデートを切り上げて帰りたいとずっと思っていました。

「よしかずさんとは、交際終了でお願いします。車を大事にされているのでしょうが、その執着ぶりに私はついていけませんでした。

車内は禁食。目的地に着いて、車を駐車場に止めるときも、駐車スペースを探すのにすごく時間をかけて、グルグルと止める場所を探していました。『角に止めたい』って言って。両サイドを車に挟まれて駐車するのは嫌なんだそうです。途中、小雨がぱらついたら、『車が汚れるな』って舌打ちしたんですよ。ドライブデートが全く楽しめませんでしたhttps://otonanswer.jp/post/124837/