アザラシロボ、避難の子らに癒やし…名前覚えなでると鳴き声(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
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ロシアによるウクライナ侵略で心が傷ついた子どもたちをケアするため、日本のアザラシ型ロボット「パロ」4体を、富山県南砺市の製造販売会社「知能システム」が、避難者を診察する隣国ポーランドの2医療機関に寄贈した。触れると鳴き声を上げる愛らしい姿に子どもたちが癒やされ、笑顔を取り戻している。

パロはタテゴトアザラシの赤ちゃんがモデルで、体長57センチ、重さ2・6キロ。視覚、聴覚、触覚のセンサーがあり、人工知能(AI)を内蔵する。なでると声を出して喜び、名前を付けて繰り返し呼びかけると学習して鳴き声やしぐさで反応するようになる。

寄贈は、パロを開発した産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の柴田崇徳・上級主任研究員の発案。今年6月、日本大使館を通じ、ワルシャワ医科大とマゾフシェ県の「神経精神医学センター」に2体ずつ提供された。今月8日、2施設のスタッフが日本の報道機関とのオンライン記者会見で利用状況を報告した。

同センターは、ポーランド人ピアニストのフレデリック・ショパンにちなみ、1体に「フレデリカ」と名付けた。「なんで動いているの」「生きているみたい」。子どもたちはパロに触れて驚いたり、喜んだりしたという。

センターのニコディム・パウリナ児童・青年精神科リハビリ部長は「戦争や避難で心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負った子どもがパロをかわいがり、リラックスしている」と癒やし効果を説明した。ワルシャワ医科大では、避難した子どもたちが通う郊外の幼稚園に、パロを携えたスタッフが訪問している。

パロは2002年、「世界一癒やし効果があるロボット」としてギネスブックに登録された。米食品医薬品局(FDA)によって医療機器として承認されており、11年3月の東日本大震災や16年4月の熊本地震の被災地でも活用された。

柴田さんは「子どもたちが喜んでいると聞き、良かった」と語り、追加の支援を検討していることを明らかにした。