「われわれは病気のパンドラの箱を開けつつあります」と言うのは、この研究を主導した米ハワイ大学の地理学者カミーロ・モーラだ。

「気候変動のせいでこうしたトリガーが世界中に1000以上もあります。解き放たれるのを待つばかりの病気がそこかしこにある。棒でライオンをつついているようなものです。ある時点でそのライオンがこちらにやってきて、私たちは泣きを見ることになるでしょう」

研究者らは、さまざまな気象災害と感染症の関連性を分析した学術論文を7万本以上、しらみつぶしに調べた。こうした論文のなかには、700年も前、つまり人類が引き起こした気候危機が出現する前までさかのぼる証拠を調べているものもある。

こうした論文で言及された感染症375のうち218が、気候の影響によって深刻化していることを研究者らは発見した。『ネイチャー・クライメート・チェンジ』に掲載されたこの論文によれば、気候の影響によって減った感染症は約16%と少ない割合だった。

論文の共同執筆者であるキーラ・ウェブスターは言う。

「圧倒的な数の事例研究が、排出量が増すばかりの温室効果ガスによってわれわれが自らをいかに危機にさらしているのかをすでに示しており、興味をそそられ、かつ動揺させられました」

https://news.yahoo.co.jp/articles/e2d9054fd0aa91009386981d0ebb48920dc71260