https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=70115

日本における麻薬製剤転売を防止するために
日本では、アメリカにおけるこのような恐ろしい麻薬中毒の実態がどれほど知られているだろうか。そしてまた、このようなアメリカの現状を他人事と考えることは果たして妥当だろうか。日本におけるオキシコンチン®の「慢性疼痛」への適応拡大は、それに苦しむ患者たちにとっての光明となるだろう。また、処方医師のe-learning受講が義務化されていたり、使用されるオキシコンチン®は乱用を防ぐ剤型となっているなどいくつかの工夫もなされてはいる。しかし、それを処方する医療者や受け入れることとなる社会としては、あくまで可能性としてではあるが、先述のような他国の事例を知っておくべきではないだろうか。それらを踏まえて、このような問題に対して医療者が取り得る対策としては、例えば以下のようなものだろうか。

・本当に麻薬製剤しか選択肢がないか考える
・麻薬製剤の服薬状況をできる限り頻繁に確認する
・麻薬製剤の最小限の処方を心がける

また、厚生労働省は「あやしいヤクブツ連絡ネット」(※7)を委託先窓口として設けているようである。通報先としてのみならず、情報参照先としても有益なHPサイトであるとの印象を持った。

SNSなどのインターネットを利用した行動はその匿名性から実態を掴みにくいため、SNSでの薬物転売問題について正確なデータを得ることは難しい。しかし、筆者らはこれからも試行錯誤しながら、本テーマにおける調査活動を続けていきたいと考えている。“DOPESICK”に鮮明に描かれている悲しい死が、日本でも猛威を振るわないことを切に祈りつつ、以上を報告とさせていただく。

https://web-opinions.jp/posts/detail/394