「ジョーカーは何に絶望したのか」境遇重ねた山上容疑者、SNS空間でも「孤立」

[凶弾 浮かんだ背景]<下>

 山上徹也容疑者(41)が、強い関心を寄せていた映画がある。

 2019年10月に公開された米映画「ジョーカー」。社会から孤立し、困窮する中年の男が主人公だ。
ピエロの仕事を失い、信じていた母親のウソを知って絶望し、手に入れた銃で殺人を重ねていく。

 母親(69)が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に1億円を超える献金を重ねて、
経済的な理由で大学に進めなかった山上容疑者。25歳を前に海上自衛隊を退職した後、
宅地建物取引士など様々な資格を取得したが、安定した仕事に結びつかなかった。

 非正規の仕事を転々とし、転職は8回以上。職場では孤立し、退職理由の多くは「人間関係」だった。
今年5月まで勤めていた工場でも、社員と口論するトラブルを起こしていた。

 高校時代の友人との交流もなく、ツイッターは凍結される前の先月17日時点で、フォロワー(登録者)が1人。
友人との交流を示す記載はなかった。一方、ジョーカーに関する投稿は少なくとも14回出てくる。
自身の境遇を重ねたのだろうか。自問するようなこんな書き込みもあった。

 〈ジョーカーは 何故ジョーカーに 変貌したのか。何に絶望したのか。何を笑うのか>

https://www.yomiuri.co.jp/national/20220811-OYT1T50105/